「のぞみセンター」。東日本大震災の津波で被災した宮城県山元町の旧JR山下駅近くに、こんな名前の三角屋根の施設がある。2012年5月に生まれた住民の集いの場だ。「久々に戻ったら、野菜をたくさんもらった」とカルビン・カミングスさん(75)▼米国の宣教師で長年仙台市に住み、大震災では日本生まれの息子5人と石巻市、山元町の被災地に通った。センターは末永い住民支援のため内外の教会関係者の協力で設立され、カミングスさんが初代運営者に。海外のボランティアも受け入れてきた▼子どもの遊び場、料理教室や交流ランチ、親子カフェ、中高生らの英会話教室、相談や傾聴。センターの多彩な活動を地域に根付かせ、昨年5月に帰国したが、後任者の事情で8月に妻イディーさん(70)と再来日。3カ月の滞在になるが、住民は大歓迎した▼「少し離れた間にも、町の風景は変わった」と言う。JR常磐線が運行を再開し、「つばめの杜」など集団移転地の真新しい街並みができた。「でも、地元の人たちは『これから先どうなるのか』と不安を訴える」▼隣人は減り、生活再建は途上で、心の傷も癒えない。「一番大切なものは、生きる希望。その希望のありかを語り合い、一緒に探したい」。センターの新たな使命になった。(2017.9.30)