目を疑う光景だった。1日夜、楽しみにつけたサッカーのスペインリーグ、FCバルセロナの試合中継。世界的強豪の本拠地に客の姿がない。ボールを蹴る音だけが響く無観客試合は、混乱を恐れての措置だったという▼バルセロナ市が州都のカタルーニャ自治州はこの日、独立の賛否を問う住民投票を行い、阻止しようと同国政府が送った警察との衝突が広がった。CNNテレビには、投票所を守って座り込む住民を警官隊が殴り蹴り、髪をつかみ、投げ飛ばす様子が映った▼欧州では3年前、スコットランドが英国からの独立を求める住民投票を行った。背景は同様。カタルーニャは古来民族の違う国だったがスペインに併合され、独立を懸けた数度の戦いに屈した。1936年のスペイン内戦後は固有の言語、文化も禁じられた▼観光地のカタルーニャは経済の豊かさで同国一。独立されては困る政府側は「投票は行われていない」と偽声明まで流していた。きのう自治州は「賛成票が90%超」と発表したが、住民の負傷者は既に900人近い▼「クラブ以上の存在。民族の象徴」。FCバルセロナは歴史的にこう呼ばれ、熱狂的応援で有名。無観客試合に勝利したが、これ以上惨事が起これば試合も危うい。世界中のファンが平和な解決を祈っている。(2017.10.3)