25年前、愛知県内の高校から米国留学中の服部剛丈(よしひろ)さん=当時(16)=が、ハロウィーンの夜に銃の犠牲になった。母美恵子さんは遺体を日本に連れて帰る機中で剛丈さんの声を聞く。「泣いてばっかおらんと何かやってくれ」▼以後、美恵子さんは夫の政一さんと共に立ち上がる。「銃のない社会」の実現に向け、賠償金を原資に米国内の銃規制団体を支援。銃への憎しみや、草の根のその活動の様子は、美恵子さんと支援団体の仲間による共著『海をこえて銃をこえて』に描かれている▼またも痛ましい事件が起きた。米ラスベガスで銃乱射により約600人が死傷。現地テレビは「米史上最悪」と伝える。自殺した男性容疑者(64)はホテルの部屋から、コンサート会場に向け銃を連射。思想面や動機などは今後明らかになっていくだろう▼驚いたのは銃が身近にあふれる社会の現実である。容疑者が泊まった部屋や自宅から計42丁もの銃と大量の銃弾が見つかった。「武装する自由」が保障されている国だとしても、護身用にこれほど大量に必要あるまい▼剛丈さんが銃弾に倒れたルイジアナ州バトンルージュでは毎年、銃規制団体が命日の今月17日を「YOSHIの日」として悼む。「何かやってくれ」。剛丈さんの叫びが米全土に広がるといい。(2017.10.4)