料理研究家、鈴木登紀子さん(92)=八戸市出身=は新著『ばぁば 92年目の隠し味』で手作りの心得を説いている。「大事なのは、相手を思う気遣い。自分の都合優先じゃ相手に満足してもらえないことはいっぱいあるわね」▼本を読み進めていくだけで腹がグーッと鳴る。「ハー、ばぁばの料理を食べたい」。そう思わせるほどに料理への愛情が伝わってくる。手間暇惜しまずに調理すれば、その真心は一皿の味をより引き立てるのだろう▼日産自動車なる老舗の料理店は、料理をレシピ通りに作るものの、免許を持たぬ者が味見をせずにお客に出していたらしい。いきなり「さあ召し上がれ」はない。出荷前の無資格検査による約121万台のリコール(回収・無償修理)である。社長は謝罪し、無資格検査が常態化していたと説明した▼国内メーカーはずさんな生産管理の不祥事が後を絶たない。三菱自動車とスズキで燃費不正があったばかり。日本車の代名詞である高品質の看板が泣く。これらの原因を考えたとき、共通するのは利益優先の効率追求だろうか▼生産者側の手前勝手なやり方は消費者の信頼を裏切る。それはどこか今の政界にも言えそう。生き残りだけを目指し、自分本位で動く政治家はごめんである。極上の一皿を待ってます。(2017.10.5)