最高時速370キロ。急降下や急旋回で受ける重力加速度は最大10Gに達するというからジェットコースターの2~3倍だ。過酷な条件下で飛行機を自在に操れるのはどんな感覚の持ち主なのか。一般人には想像もできない▼小型プロペラ機によるレッドブル・エアレース世界選手権。海上などに全長6キロのコースを設定、2周してタイムを競う。唯一のアジア人として参戦する福島市在住のパイロット室屋義秀さん(44)は今季3勝を挙げ、第7戦を終えて2位。年間総合優勝を狙える位置に付ける▼20年ほど前から同市大笹生の農道空港「ふくしまスカイパーク」を練習拠点としてきた。空港はモモなどを首都圏に空輸する目的で国が整備し、1998年に開業した。空輸は採算が合わず、利用がほとんどなく、無駄な公共事業の象徴といわれた時期もあった▼NPO法人「ふくしま飛行協会」が航空ショーなどを開き、利用拡大に地道に取り組んできた。今月1日にあった小学生らの航空教室の講師を務めるなど、室屋さんもスカイスポーツ普及の一翼を担ってきた▼逆転優勝が懸かる米国での最終戦は今月15日。「福島の子どもたちに力をもらって戦う」。米国への出発前、力強く語った室屋さん。福島の空で磨いた技を存分に発揮してほしい。(2017.10.9)