野球のルールブックこと『公認野球規則』で審判員の「一般心得」が説かれている。少し抜き出すと、「大勢の人の前で、瞬間的な出来事に対して、即座に裁定を下さなければならない。常に見たままを的確に裁定する」▼有権者はまさに審判員である。衆院選が公示され、野球規則の心得を読んでみると、なるほど重なる部分が多い。例えば国会の解散や政党の離合集散は突発的なプレーだった。候補者たちが繰り広げてきた言動を冷静に思い返し、22日の投票日には「アウト」「セーフ」を高々とコールしたい▼とりわけ今回は選挙権年齢が「18歳以上」に引き下げられて初めての総選挙である。10代の有権者は観客席からグラウンドに降り、与野党入り乱れる戦いの審判に加わってほしい。何せ移籍選手が相次ぎ、メンバー表の整理に手こずった政党もある▼少しばかり投票経験の多い身として新有権者に伝えておく。かつて野球の仙台六大学リーグで長く審判員をした人に聞いた話である。「『審判のせいで負けた』と何度も言われた。逆に『あなたのおかげで勝った』と言われたことはない。それが誇り」▼「公正中立」をうたう審判員と違って、有権者は「自分本位」「肩入れ」があっていい。国の行く末を考えたジャッジに誇りを持って臨みたい。(2017.10.11)