日本の産業界をケヤキの木になぞらえてみる。大きな樹冠を多彩な「ものづくり」企業とすれば、下で支えて原料を送る根が鉄鋼や石油、化学など素材産業か。もしも根にトラブルが生じれば影響は計り知れない。それが現実に起きた▼大手鉄鋼メーカー神戸製鋼所が8日発表したデータ改ざん問題。アルミ製品や銅製品などで、強度などの性能データ書き換えを国内4工場で行っていた。顧客と取り決めた仕様を満たさぬ製品を不正な検査で、約10年出荷し続けたという▼会見した副社長は「担当者がついつい書き換え、やり出したら続いた」と組織ぐるみを認めたが、顧客は約200社も。確認されただけで自動車の車体、新幹線車両、航空機の機体やエンジン、H2Aロケットに至るまで行き渡っていた▼「日本の品質神話、崩壊か」とロイター通信が報じた。先月末、日産が完成前の車の無資格検査が常態化していたと公表したばかり。最近では三菱自動車の燃費不正、東洋ゴム工業の免震ゴムのデータ改ざんなど大企業の不正が次から次▼共通するのは、われわれユーザーの安全を二の次とする姿勢だ。神戸製鋼所は8月末に事実をつかみながら「説明は顧客優先」と、国から促されるまで発表を遅らせた。世界から信頼された「品質大国」はいずこ?(2017.10.12)