競泳の指導者に聞いたことがある。平泳ぎで禁止される「あおり足」の矯正は結構やっかいだという。引き付けのときに足首が返らず伸びてしまい、甲で蹴ってしまう。足の裏でかくよりもずっと速くなり、「快感がいつの間にか癖になる」▼道路で前を走る車に極端に近づく「あおり運転」もそうかもしれない。「割り込まれた」「急ブレーキをかけられた」と思い込んで腹を立て、ぐんとアクセルを踏み込む。一度キレた気持ちはなかなか元には戻らない。こちらは「癖」で片付けていい話ではない▼大崎市の市道でもトラブルがあったらしい。46歳の男が車を追い掛けて会社員男性の腕をのみで刺した疑いがあるという。ゾッとする。先頃も、東名高速道路での夫婦死亡事故は進路ふさぎが引き金だった、とのニュースに接したばかり▼そういえば知人の競泳指導者はこんなことも言った。「あおり足を直すと、むしろ疲労度が少なくて効率よく進めるようになる」。この言葉、何やらあおり運転をしてしまいがちな人にも通じないか。イライラはかえって自身の足をすくってしまう▼警察庁によると、高速道路上の昨年1年間のあおり運転の摘発件数は6690。競技会なら審判員が見ているように、あなたの運転はどこかで誰かに見られている。(2017.10.21)