仙台うみの杜水族館に巨大水槽がある。幅14メートル、水深7.5メートル。「いのちきらめく うみ」と題し、三陸の海を表現している。圧巻はマイワシの群れ。2万5千匹の銀の一団が、まるで生き物のように際限なく形を変えて動き続ける▼国政選挙を海の中に例えれば政党は群れであり、立候補者がきらりと輝く銀りんだろう。台風21号が北上する中、きのう投開票があった衆院選。有権者はさまざまな大小の塊を見て審判を言い渡した▼「国難突破」の掛け声の下に集まった自民の魚群は、自ら起こした森友、加計(かけ)学園問題という波紋の影響を最小限に食い止めた。東京湾からの潮に乗って現れた希望の党は、「排除」の遠心力で分散。公明を含む連立与党の巨大な潮流に蹴散らされた▼急きょ存在感を示したのがはぐれ魚同士。立憲民主である。リベラルの旗と野党間協力の求心力が働き、第3極の主役へ躍り出た。「希望」と異なり、整然と隊列を崩さなかったことが功を奏した▼魚の群れは英語で「スクール」。「めだかの学校」よろしく生き残りの行動を学ぶ場らしい。突然の課外授業、教室からは耳当たりの良い言葉ばかりが聞こえた気がする。校長先生たちに言いたい。有権者は今後を「そっとのぞいて」いくどころか、しっかり見ていく。