「朝ドラ」を見て「がっつり」ご飯を食べ、「乗り乗り」の気分で「勝負服」を着て参加した「婚活」イベント。あるカップルが「お姫様抱っこ」して「自撮り」していた姿に「いらっと」きた…。おっと、誰かのブログ日記ではない▼国語辞典『広辞苑』(岩波書店)が10年ぶりに改訂され、来年1月発売の第7版に載る約1万の新語の一部だ。十年一昔だが、ネットを中心に耳新しい言葉は日々生まれ、若者らを媒介し拡散している。いつの間にか自分も便利に使っていることが多い▼気になっていたのが、「がっつり」という表現。しっかり、思い切りの意とか。テレビでよく聞くが、調べると「北海道の方言」との説がある。地元紙記者に尋ねたら「聞かない。『なまら』(すごく)は使うが」。こんな起源不明の言葉も広まる▼この10年に起きた最大の災害「東日本大震災」、東京電力福島第1原発事故で報じられた福島県「浜通り」や「安全神話」も時代に刻まれた言葉として載る。それだけで被災地に読み手の関心を導く入り口になる▼昨年の米大統領選から広まった「フェイク(偽)ニュース」は採られなかった。新奇かもしれないが、入れてほしかった。人と人をつなぐ言葉の使命、信頼を無にし、言葉そのものが危うい現代の象徴だから。(2017.10.27)