「闇」という字は門構えの中に「音」を封じ込めている。光ではない。目だけでなく耳も頼りにできぬ空間や世界を想像する。ある部屋、その住人、起こったこと…。断片的情報がいくつか入ってきても、猟奇性があまりにも色濃く、闇の中でたたずむ▼神奈川県座間市のアパートに住む27歳男の部屋から、女性8人、男性1人とみられる計9人の切断された遺体が見つかった。1人の死体遺棄容疑で逮捕された住人の男は「私が殺害した遺体を証拠隠滅しようとしたことに間違いありません」と供述した▼事件の不可解さを際立たせるのは容疑者と被害者の接点である。警察によると、ある女性はツイッターに「自殺を一緒にしてくれる人を探している」と書き込んでおり、自殺サイトで知り合った可能性があるという▼「一緒に自殺しませんか」「この方法で死ねます」。こんな文言が並ぶ自殺サイトは2000年代に目立ち始め、たびたび集団自殺や殺人事件に発展している。取り締まろうにも、開設してはすぐに消える傾向にあり全体像の把握がなかなかできない▼<真の闇よりむやみが怖い>。闇は怖いが、それよりもむやみやたらに何をしでかすか分からない人がもっと怖いということわざもある。闇につぶてを投げても、今は音さえ聞こえてこない。(2017.11.1)