米国で2001年にあった9.11同時多発テロ。3千人以上が犠牲になったニューヨークの世界貿易センタービル跡をかつて訪ねた。航空機の突入で崩壊したビルは消え、世界中の人が書いた追悼のメッセージと無数の花が供えられていた▼現在、同市の不屈の精神を象徴する「ワン・ワールド・トレード・センター・ビル」が跡地にそびえるが、慰霊の施設が設けられ、悲劇を伝える場であり続ける。そこから間近な場所で新たなテロ事件が、日本時間の1日早朝に起きた▼現地はハロウィーンでにぎわった午後。自転車道を突然小型トラックが暴走し、8人を死なせ、子どもを含む多くの人を負傷させた。米CNNは、散乱する自転車や横たわる人々、犯行後に車を出た濃い口ひげの男の映像を生々しく伝えた▼容疑者は中央アジア出身で、「イスラム国の名の下に行動した」とのメモが車から見つかったという。背景は不明だが、トランプ大統領がテロ対策を強化する国で、しかも悲劇の地ニューヨークで防げなかった衝撃は大きい▼凶器はまた自動車。ベルリン、ロンドン、ニース、バルセロナでも平和な街を一瞬で踏みにじり、大勢の市民を巻き込んだ。航空機から小さな車へ手段を変え、恐怖を日常に拡散するテロにどう立ち向かえばいいのか。(2017.11.2)