山形市が蔵王山の呼び名を「ざおうざん」から山形風の「ざおうさん」へと変更を提唱したことから、本紙「声の交差点」には多くの意見が寄せられた。宮城県側の自治体の協力が得られず構想は頓挫してしまったが、反響の大きさに地域のシンボルへの深い愛着を感じた▼かつて宮城県南の大河原町に勤務していたことがある。見る場所によって山の形は違えど、夏の雄々しさと冬の神々しさは変わらず。宮城、山形ともに地場産業との関係も深く、「蔵王ブランド」の商品は酒、乳製品、菓子など枚挙にいとまがない▼醸造所のタケダワイナリー(上山市)のワイン「蔵王スター」もその一つ。赤と白があり、発売から37年間で1300万本を販売した。土産やテーブルワインとしてひいきにしている人も多いのでは▼そんなロングセラーが近く、いったん販売を終了する。ラベルの地名表記を原料の主産地と醸造地に厳格化した新基準に伴う措置という。赤の原料のブドウは蔵王山麓と呼ぶには微妙な天童市産が中心のためだ▼蔵王スターは飲み納めになるが、「ざん」派も「さん」派も蔵王ゆかりの数々の逸品を味わいながら、両県が分かつ恩恵の数々に思いを巡らせてはいかが。呼び名の違いも山の雄大さ故と、すっと腹に収めることができるはず。(2017.11.5)