福島市から米沢市に向かう国道13号を脇にそれ、渓流沿いの未舗装路をしばらく走ると数軒の廃屋が現れる。福島県の大滝集落跡。最盛期には250人以上が暮らし、小学校の分校もあった▼大滝集落は国道13号の前身で、明治初期に行われた新道建設の前線基地として産声を上げた。新道は当時としては極めて大規模な土木工事で、福島、山形県境に掘られた876メートルの栗子隧道(ずいどう)は日本一の長さを誇った。巡幸した明治天皇が「万世大路(ばんせいたいろ)」と命名した▼荷役を行う宿場町として栄えたものの、1899年に開通した国鉄奥羽線に交通量を一気に奪われる。戦前から戦後にかけて盛んだった炭焼きはエネルギー革命で衰退。国道13号が開通して集落が袋小路になると離村の流れは加速する▼約40年前に最後の1家族が去って無人となった。出身者らでつくる「大滝会」が集落跡に石碑を建てるなどして歴史を語り継ぐ。木村義吉会長(82)は「貧しくても助け合って生きていた」と懐かしむ▼万世大路、国道13号と並行する東北中央自動車道福島大笹生(おおざそう)-米沢北インターチェンジの36キロが4日、開通した。福島-米沢間が約20分短縮され、経済、観光交流の加速が期待される。1本の道路が地域と人々の暮らしを大きく変える。新たな道はどんな歴史を紡ぐのか。(2017.11.6)