福島県浜通りの街の宿で先日、祝い事があった。東日本大震災後に施設は改築され、料理も良かったが、他に客はなかった。寂しさを感じて地元の友人に聞くと、「復興関係の工事が終わり、滞在していた作業員は引き揚げ、食事をする職人さんの姿も見かけなくなった」▼今春、同県内で避難指示解除となった地域の除染もほぼ完了し、宮城、岩手、福島の被災3県で約3万戸の災害公営住宅は本年度で大半が完成する。その先に「復興」が見えるはずだが、被災地には冷たい晩秋の風が吹く▼復興庁は今年9月まで1年の震災復興の状況(青森県も含む)を新たな年次報告書案にまとめた。建設業で「8割近くが震災前の売り上げ水準以上に戻った」と分析するが、知り合いの業者は「復興需要が終息して受注が激減し、もう冬の時代」と言う▼より厳しいのが東北の浜の経済を支えてきた水産・食品加工業。売り上げ水準がいまだ「震災前の3割」という苦境にある。多くは震災で失った販路を回復できず、加工品の目玉であるサンマなどの不漁、値の高騰が追い打ちに▼わが家では普段、福島のコメ、みそ、総菜には石巻や気仙沼、大船渡の水産加工品をよく食べる。ささやかな応援だが、何より味が良いから。東北で食べて支える一袋を増やせたら。(2017.11.8)