「あの時と似ている」と仙台市で自死予防活動をする神(じん)春美さん(70)は言う。神奈川県座間市で自殺志願の若い女性ら9人の切断遺体が見つかった事件。死体遺棄容疑で逮捕された男と会員制交流サイト(SNS)で知り合っていた。思い浮かべたのは2003~06年ごろ、全国で続発した集団自殺だ▼当時インターネットに心の悩みを持つ人を自殺へ誘う裏サイトが登場。書き込みを通じ「一緒に死のう」と約束した若い男女の悲劇が相次ぎ、サイトを利用した連続殺人も起きた▼「人と人のじかのつながりで、私たち大人の世代は救われた」。30年前に産業カウンセラーを始め、東日本大震災の被災者の相談、今は自死予防の相談団体「みやぎの萩ネットワーク」に参加し、人の悩みを聴いてきた▼だが、この10年で「若者との接点がどんどん見えなくなった」。集団自殺多発の折は、サイトの書き込みを見つけた家族が寸前でわが子を守った例もある。しかし、座間の事件ではSNSが犠牲者を待ち構える密室のように使われた▼電話やメールが中心だった従来の相談のあり方から、死へと心が傾く若者もつながれる新しい方法はないのか、と神さんら関係者は自問する。「苦しみを乗り越えた経験のある若者を仲間に加え、一緒に考えていけたら」(2017.11.10)