高齢者の運転免許証の自主返納が、宮城県で先月末4438件を数え、過去最高だった前年を超えた。「相談窓口を各署に設け、交番が広報に努めた。高齢者の事故報道も増え、『わが事』になったのでは」と県警▼返納は「老い」を自ら認める決断だ。その支援も東北の自治体で広がる。バス、タクシーの運賃補助、保養施設の利用やスーパーの買い物の特典…。だが「問題は代替えの足。便利な都市部と地方、とりわけ被災地の格差は大きい」との声を聞く▼80代ドライバーは普通で、90代の現役もいる気仙沼市のある地区。「主な理由は通院」と老人クラブ会長は話す。東日本大震災後、JR線はBRT(バス高速輸送システム)に。乗り継ぎが多く、駅に止まるため病院まで遠い。「1時間かかる。車なら25分」▼3月に避難指示解除になった福島県飯舘村も深刻だ。来春帰還予定の80代の男性は「免許をもう一度更新するつもり」と言う。路線バス、村営バスは一部区間。車なしでは、通院も買い物も村外に頼るしかない暮らしは不可能だ▼ただ今年から75歳以上の免許更新で認知機能検査が強化され、認知症の疑いがあれば医師の診断を求められる。「運転より検査の方を皆、心配している」と先の老人クラブ会長。被災地を助ける妙案はないか。(2017.11.22)