いつまで眺めていても飽きのこない独特の美しさを放つ、と紹介されている。「ハーバリウム」という。乾燥処理された草花を、透明な液体とともにボトルに閉じ込めた植物標本だ(『an・an』8月30日号)▼東急ハンズ仙台店には今、そのボトルが色鮮やかに並ぶ。クリスマスの企画だ。1年ほど前から人気が出て、今年は母の日、敬老の日用にも特設展示をした。花や瓶を選べるキットも人気とか▼日本ハーバリウム協会(神戸市)の発足は4月。認定講師は全国で2000人を超える。東北で初めて資格を取得した平形恵久美さん(33)=仙台市太白区=を訪ねた▼素材はアジサイ、バラ、カスミソウなどのほか、リンゴやオレンジも。ボトルは50~250ミリリットル、値段は1000円から。専用液に浸すと1年ほどは持つ。「小さな瓶の中に、一つ一つ違う世界観がある」と平形さん。贈り物、仏壇の供え、入院患者への見舞い。平形さんに制作指導を受ける人々の用途は、さまざま▼石巻市出身。大震災の津波で、母が17年勤めた市内の花屋が流された。落胆する母がネットで見つけ珍しく上気した声で報告してきたのが、ハーバリウム。「母と一緒に何かをしたくて始めた。古里の元気にもつながるかなと」。光差すボトルに、深い願いがある。(2017.11.27)