シンクロナイズドスイミングの指導者、井村雅代さん(67)は中国代表のヘッドコーチに就任して間もない2008年に四川大地震が起き、動揺する選手たちと一緒に泣いた。そして言った。「一人一人、何ができるか考えよう」▼中国は後に強豪国へ。名伯楽は振り返る。「人間性が見えるのがシンクロの怖さなんです。だから(被災地の)そういうことを考える人間であってほしいと思って言ったんです」。熊本地震に絡んだ講演会で語っている▼アスリートの可能性とは何だろう。サッカーで宮城県女川町に拠点を置くコバルトーレ女川が、アマチュアの最高峰日本フットボールリーグ(JFL)への昇格を決めた。石巻市民リーグから一歩一歩。東日本大震災の被災者の姿と重なって見えるところに、チームの尊い戦いぶりが伝わってくる▼クラブは06年誕生。震災では1年間の活動休止を余儀なくされた。創設時から関わる阿部裕二監督(46)は「いろんな人に助けられ、女川町に生かされて今がある。その恩に報いたかった」との言葉に実感がこもる▼選手の多くはかまぼこ製造会社で働く。青い海(コバルトブルー)と自然豊かな森(フォーレ)が次に待つ吉報はJ3昇格。泥くさく、地域性あふれる歓喜になるに違いない。楽しみにしている。(2017.11.28)