欧州の街々を旅すると出合うのが、尖塔(せんとう)のある聖堂、地元サッカークラブ、歌劇場や音楽ホール。人々の暮らしの文化や楽しみ、豊かさを象徴する。観光客にも魅力の場所だ▼ドイツ・ライプチヒの高名な音楽ホールを手本に、仙台市が「最高の響きの音楽堂建設を」と打ち上げたのが1980年代末。東北初の政令市になり、100億円規模の公共施設が続々と生まれた時代だ▼市内にある県民会館、市民会館は60~70年代に建てられた多目的ホール。「仙台の音楽文化を世界に発信する約2千席規模の専用ホール」を構想したが、建設候補地が流転し、市の財政難や東日本大震災も重なり話は凍結された▼「音楽は復興の力になる」と震災翌年、仙台での討論会で語ったのが同じ被災地の音楽ホール、兵庫県立芸術文化センターの藤村順一・現副館長。95年の阪神淡路大震災の後、「地元の生活再建が先」との声を受けながら10年後に開館し、年に80万人の集客、70億円の経済効果を上げる▼仙台にも音楽ホールは必要と、震災後7年目でようやく同市は、その姿を具体化する懇話会を発足させた。全国の政令市で大型ホールがないのは仙台だけというが、音楽がどんな復興の果実を生み、市民の心をどう癒やせるのか、議論を丁寧に伝えてほしい。(2017.11.29)