福島県会津坂下町出身で近代日本を代表する版画家、斎藤清さん(1907~97年)は、ライフワークとして古里・会津の風景を描き続けた。生誕110年と没後20年を記念した企画展が、福島市の県立美術館で10日まで開かれている▼代表作「会津の冬」シリーズは、雪に埋もれる集落や路地、人々の暮らしを描く。こんもりと屋根に積もった雪の曲線が温かみを感じさせ、何とも言えぬ懐かしさが込み上げてくる▼「昔はみな、かやぶき屋根でね。つららがダーッと垂れていた」。斎藤さんは亡くなる2年前、純朴な風景に創作意欲をかき立てられたと本紙記者の取材に明かしている。かやぶきは時代とともにトタンに変わり、「もう、かきたいと思う風景はなくなってきたな」とも語った▼昔ながらの景観や文化を後世に残そうと、福島市の市民グループ「かやぶき文化伝承会」が活動を続ける。市内でただ一人のかやぶき職人が昨年亡くなったのをきっかけに、今年2月に発足した▼11月下旬、メンバーら約20人が市内の耕作放棄地で材料となるススキやヨシの刈り取りを行った。江戸中期-明治中期の古民家が移築されている「民家園」などで、ふき替え作業を担えるよう腕を上げるのが目標。市民の行動力で日本の原風景を守ってほしい。(2017.12.4)