献花台の花が寒風に吹かれて揺れている。東日本大震災で被災した石巻市門脇・南浜地区に立つ「がんばろう!石巻」の看板。震災1カ月後から、周囲で進む復旧復興を見守ってきた。現在の看板は2代目。最初の位置から昨年4月、100メートルほど海側に移された▼看板のそばにノートが一冊、箱に入ってある。津波で流失した自宅跡地に看板を立てた石巻市の配管工事業黒沢健一さん(46)が、2012年夏から置いている。「看板に七夕飾りを設置した際、短冊に思いを書く人が多く、思いを記すものが必要だと感じました」▼ノートには訪れた人々が被災地への励ましや感想、犠牲者への思いを書き込んできた。メッセージは7000件を超え、ノートは28冊を数える。黒沢さんは時間の経過とともにメッセージがどう変わったのか、調べている▼石巻地方を中心に震災の伝承活動に取り組む個人や団体がこのほど、連携組織「3.11メモリアルネットワーク」を発足させた。黒沢さんも役員の一人だが、「語り部は今もつらくてできません」。でも、次代に伝えるべきなのは震災の記憶や教訓だけではない▼犠牲者との語らい、悲しみ、激励、感謝、生活再建への誓い…。ノートに刻まれた人々の思いもまた、大事に伝承しようと黒沢さんは思う。(2017.12.18)