次々に後続車両が追突、脱線した現場映像は今も目に焼き付く。19年前、101人が死亡し88人が負傷したドイツ超高速鉄道の事故。車輪が金属疲労で走行中破損した。運転士は異常を感じ緊急停車したが、原因を見逃して運行を続けたという。そんな惨事を連想し、ぞっとした▼JR西日本の博多発新幹線が走行中、異常な臭いや音を発し、車輪を支える台車に亀裂などが見つかった問題。脱線などの恐れがあった「重大インシデント」と、国は新幹線で初認定して原因を究明中だ▼出発後間もなく客室乗務員が焦げたような臭いに気付き、車両保守の担当者も途中乗り込んで「うなり音」を聞いたが、走行に支障なしと運行を続けた。名古屋駅でやっと運休するまで約3時間。異変に触れた乗客らは、生きた心地がしなかったろう▼報道では、前日の目視点検で問題が見つけられず、走行中の異常も過小評価された。1964年の登場以来大事故がなく、最新の電子制御が加わった新幹線の「安全神話」に、乗客の命を守るプロが最も大切にすべき「五感」が迷わされたか▼東北新幹線をはじめ、新幹線全車両の緊急点検も国から指示された。もうすぐ年末の帰省シーズン。ホームでの数えきれぬ家族再会を支える信頼を一日も早く取り戻してほしい。(2017.12.19)