東北で東日本大震災は終わらぬ現実なのに、世の関心の風化を今年も感じた。だが、科学の目で見ればどうか。1995年の阪神淡路大震災から9年後に新潟県中越地震、その7年後には東日本大震災、さらに5年後に熊本地震が発生。驚くべき頻繁さで、この列島は震災の風化を拒んでいる▼新たな震災の予測が19日公表された。北海道東部沖で30年以内に超巨大地震発生の「切迫性が高い」と、政府の地震調査委員会が評価した。根室沖では「70%程度の確率」などと踏み込んだ▼震源は千島海溝。350年前後の間隔で大地震が発生し、前回から既に約400年を過ぎたという。先住民のアイヌ民族に文字伝承がなく、津波の堆積物を長年調査した平川一臣北海道大名誉教授らが歴史に埋もれた震災に光を当てた▼「東日本大震災のような『想定外』をなくすため、科学的知見を総動員した」。委員の今村文彦東北大教授の話を読んだ。6年前の惨状を目にした地震研究者らの悔恨が、過去のあらゆる遺物や記録を見直す新方針につながった▼遠くの話でなく、震源域が青森沖に広がる恐れも指摘される。前回の大地震の津波が、旧仙台藩領で約1800人が亡くなった1611年の慶長三陸津波と同じものだったとの説も。過去の学びこそ備えになる。(2017.12.21)