♪若くあかるい歌声に 雪崩は消える 花も咲く…。作家の石坂洋次郎(弘前市出身)の小説を基に作った映画『青い山脈』(1949年公開)のラストシーンは池部良や原節子らが自転車で道を駆けていく。その軽快さは歌と共に鮮烈な印象を残した▼戦後初のサイクリングブームである。映画を製作した東宝の資料などによると、「自転車が売れて売れて業者がうれしい悲鳴を上げた」。それまで主に商業用だったのが一般の若者にも広く浸透したらしい▼二枚目スターには到底かなわぬ身ながら、自転車にまたがって風を切って走れば歌の一つでも口ずさみたくなる。そんな気持ちを察してかどうか分からないが、無料通信アプリを手掛ける会社が自転車のシェア事業に参入し来年サービスを始める。仙台は4年前から「ダテバイク」の貸し出しがあり、競争が生まれる▼レンタルの仕組みは、街角に設けられた駐輪場にある自転車を借りて利用後は近くの駐輪場に返す。中国では総台数が既に1000万を超す。日本は今後、専用レーンの整備や乗車マナーの順守徹底が求められよう▼宮城の沿岸部で毎秋行う「ツール・ド・東北」の参加者たちの顔が思い浮かぶ。「青い海原」の風を受けて気持ちよさそう。そんな笑顔、街中にも増えるといい。(2017.12.22)