「これは十字軍の聖戦」。2001年の米国同時多発テロの後、当時のブッシュ大統領がこう反撃を訴え、内外の批判を浴びた。十字軍は中世、イスラム教圏にあった聖地エルサレム奪還に燃えたキリスト教諸国の200年に及ぶ遠征だ。混乱と犠牲を残し失敗、一方的正義の愚行のたとえにもなった▼トランプ大統領も「十字軍」を気取ったか。イスラエルが69年前の建国以来パレスチナから占領し「首都」とするエルサレムを、同大統領が主張通りに認めた。イスラムの聖地でもあり、紛争の悲劇を引き起こしてきた問題を、十字軍の剣さながらに切り割った▼ユダヤ系、キリスト教系の票を狙って、首都の証しとして「エルサレムに大使館を移転する」と昨年の大統領選で公約していた。今は支持率低迷の中、「強い指導者ぶりを見せたい異常な執着心がある」との指摘が本紙に載った▼21日の国連総会が、「当事者が共生できる解決を」と米政府に認定撤回を求める決議を採択した。反対するなら援助金を削るような、なりふり構わぬ本人の脅し文句が聞かれたが、日本を含め大多数の国が筋を通し賛成した▼あらわになったのは、世界に「愚行」を見せた大統領の孤立か。失地回復を焦る剣が、暗雲漂う隣の半島へ振り下ろされぬよう願うばかり。(2017.12.23)