シドニー五輪でマラソン女子を制した高橋尚子さん(45)に自作の詩がある。<いままでに、いったいどれだけ走ったか 残すはたった42キロ>。人は既に戦いの中にあって、レースのスタートはもう追い込み段階という心境をつづった▼きのう全国高校駅伝の女子で仙台育英が優勝を飾った。現地で取材した記者に聞くと、「誰もが自信に満ちていた。練習のたまもの」という。メンバー5人が「仕上げ」の意識をたすきに託したのだろう▼高校生の長距離走の練習は通常、1500メートルや3000メートルをスピード重視で走る。仙台育英は今春、これを5000メートルに切り替えた。体の成長と歩調を合わせるかのように、個々の選手は3000メートルの持ちタイムがグングン上昇していった▼中継テレビは選手たちをねぎらう釜石慶太監督(30)の姿を映し出した。思わず「あの日」と重なる。仙台育英から進んだ東洋大で箱根駅伝を総合2連覇し、主将として胴上げされるよりも先に部員の肩をポンポンたたいていた。「練習お疲れ」と毎日こんなふうに言っていたのかもしれない▼仙台育英は東日本大震災で多くの部員が他県に転校し低迷を余儀なくされた。先頃は硬式野球部員らの飲酒・喫煙が発覚。練習で人は変われる-。いいクリスマスプレゼントをもらった。(2017.12.25)