ケンカして絶交中の裕太から届いた年賀状には、「あけまして ごめん」とあった。「ぼく」は一枚だけ取っておいたはがきを直接、裕太の家の郵便受けに入れる。転校する友と仲直りするために。重松清さんの小説『あいつの年賀状』である▼5年生ならともかく、遠方の相手も多い大人はこうはいくまい。予期せぬ人からの年賀状に慌てぬよう、先方にも慌てさせぬよう、まだの方は急ぎ投函(とうかん)を。通常はがきは62円に値上がりしたが、年賀はがきは52円のまま。ただし、来年1月8日以降は10円分の切手を足す必要がありますよ▼日本郵便によると、一度に多くの量を配達する年賀状はコストを抑えやすく、値段を据え置けた。拍手。先月、宮城で行われた全日本実業団女子駅伝で日本郵政グループをもう少し応援しておけば良かったか。ちなみにはがきに差額が生じるのは1967年以来。この年用の年賀4円、通常5円だった▼山下清の『栗』(38年)は古切手を重ねて作った貼り絵だ。イガの厚みある質感が印象的だが、戦争の影濃く、色紙(いろがみ)が手に入らなかったことも背景にある▼画伯には申し訳ないけれど、切手に世話になるにしてもこんな形はごめんだと、少しきなくさい平成の年の瀬に思う。<賀状書く鍋の煮豆の音ききつ 稲葉より恵>(2017.12.27)