「がん闘病を経て、おかみ役に」。以前、北上市夏油温泉の旅館を切り盛りしていた50代の女性を本紙で紹介した。家の経済的苦境から体の痛みに耐えて働き、がんの骨転移と分かった。絶望の中で地元の患者と闘病体験者が集う「びわの会」に出合い、新しい人生に挑んだ▼その女性が先日、雪の中を病院に運ばれたと聞いた。「前日まで骨転移の痛みで入院したばかり。幸い、手術はうまくいきました」。助けを求める電話を受け、付き添った高橋みよ子さん(64)が語った▼自らも乳がんを経験した、びわの会の3代目の代表。同じ病と向き合う女性たちの自助の会の結成に加わり、今年で15年。40人の会員とつながり、病室や家を仲間と訪ねて励まし、悩みを皆で解決し、山歩きや音楽の会も開く▼市内の岩手県立中部病院・緩和ケア病棟。やはり助けを求められ、入院を手伝った70代の独居女性が穏やかに過ごす。「自宅のような庭のある病室を」と他の団体と訴え、8年前に実現した病棟も活動の場だ▼高橋さんらは当事者として患者らを手助けする「がんピアサポーター」になり、担い手の養成講座も催す。「最期を見送った仲間も約40人。その思いを受け継いで家族のような仲間を広げ、がんを巡る地域の環境を変えたい」。希望を新年に託す。(2017.12.30)