朝の出勤時、うっすらと雪をかぶった日陰の道を駅まで歩いていくと、早起きの散歩者だろう、犬を連れて歩いた靴跡が何メートルも続いていた。学校が休みのためか通学者に踏まれず、それはまるであぶり出しのようにきれいだった▼古川柳を思い出した。<黒犬を提灯(ちょうちん)にする雪の道>。貧しかった作者が犬を明かり代わりに進む光景が浮かぶ。時に夜の闇で導き、あるいは人に癒やしと健康をもたらす。この四本足は昔も今も何かと頼りになってくれる▼人との深い結び付きは正月三が日の風習からも分かる。多くの人が獅子舞で頭をかんでもらったり、獅子の発展形であるこま犬の像がある神社へ初詣に行ったりする。「かみつく」は「神が付く」につながり、魔よけになるという説がある▼戌(いぬ)年である。さて、獅子の前に差し出したいものは何であろう。書類、借金、宿題、エッ上司? と思っていたら、きのう、いきなり「大発会26年ぶり株高」のニュースに接し、こま犬も一緒に日本経済をガブリとやってくれたのかもしれない。どうかこの流れが東日本大震災の被災地に及ぶといい▼きょうは二十四節気で寒の入りを示す「小寒」。節分まで最も厳しい寒さを強いられる。辛抱も、犬のように連れ添ってゆくしかない。きっといい方向に導いてくれる。(2018.1.5)