「ゆっくり湯治をしています」。昨年末、東京の友人から会員制交流サイトの便りが届いた。職場を辞め次の人生を考えようと、花巻市の大沢温泉で自炊生活をしていた。「こんな休暇は初めて。東北の湯で生き返ります」▼東北で湯治は、農家ら働く人、病に悩む人の癒やしだった。その文化を現代に生かす試みも。大崎市のみやぎ大崎観光公社は、人間ドックを受けて市内の鳴子温泉の湯も楽しむツアーを売り出した。温泉を目玉にした「健康づくりの旅」は有望ではないか▼「中国の人たちも温泉が大好き」と語るのは、黒竜江省出身で仙台市で針灸(しんきゅう)整骨院を営む加藤彦偉(よしたけ)さん(53)。昨年、国から東北初の国際医療交流コーディネーターに認定される会社を設立した。「がんの検診、治療を高度で丁寧な日本で」と望む中国の人を仙台の医療機関につなぐ▼昨年約140人を受け入れ、秋保、作並などの温泉に泊まってもらった。「お湯、自然、宿もいいとファンになって帰り、身内や友人も誘ってくれる」。日本人の母親らと39年前に帰国し、育った古里との縁を交流に広げる▼東北への外国人宿泊者は増えつつあるが、全国に占める割合は昨年わずかに1%。「もったいない。健康志向はどの国も同じ。『TOUJI』の魅力をもっと売り込んでは」(2018.1.12)