<どの辺からが天であるか/鳶(とび)の飛んでいるところは天であるか…>は高見順の詩『天』の書き出しである。探し物は「秋」だったようで<こゝに/静かに熟れてゆく果実がある/おゝ その果実の周囲は既に天に属している>と結ぶ▼あすは節分、翌4日が立春とはいえ、毎日こう寒さが厳しいと「春」はなかなか見つけられない。それでも、プロ野球各球団のキャンプインに胸を弾ませた人は多かろう。ユニホーム姿で動く選手を新聞やテレビで見ると、やっぱりいい。汗がほとばしっていた▼沖縄県久米島町で始動した東北楽天が狙う物は「天下」である。5年ぶりのリーグ制覇と日本一を目指す。果実が熟れるように、選手は大輪を咲かせてほしい。特に今季は亡き星野仙一副会長の弔い合戦の色合いを帯びる。担当記者は「まずは黙とうをささげて練習スタート。意気込みを感じた」と教えてくれた▼手前勝手な見方ながら、天も応援する。おとといの満月は皆既食でみるみる赤銅色に染まっていった。英語ならクリムゾンレッドであり、チームの門出を祝っているかのようだった▼今シーズン、あの色はどれほど目にしみるだろう。<球春のファウルボールは雲の中 小枝恵美子>。東北はまだ野球を楽しめないが、思いは沖縄に通じている。(2018.2.2)