ウナギ釣りに誘われたことがある。昼に釣ったアユの身を餌に、夜中の川に釣り糸を垂れると強烈な引きがあり、助けを借りて捕った。翌日のかば焼きのうまさが忘れられない。一昔前の話で、今や天然のニホンウナギは絶滅危惧種だ▼「土用の丑(うし)の日」の高値が気になる養殖ウナギが、ついに手が届かぬ高級品になるのか。養殖池で育てられる稚魚のシラスウナギが記録的不漁という。大半の輸入先の香港から仕入れる値が1キロ約315万円。一昨年の2.4倍に高騰した▼シラスウナギは太平洋で生まれ、東アジアの川に上る。大消費地の日本に売るための乱獲や環境破壊が続いた近年、漁獲が激減。養殖する量を近隣各国が制限するなど、対策は打たれたものの、値が上がるほど密売も横行する▼「天然資源に依存しないウナギの生産に道開く」とのニュースが流れたのは8年前。独立行政法人水産総合研究センターが成魚から採卵し、稚魚をふ化させた。その後、育った親の卵からシラスウナギを育て、大型水槽で養殖を目指す試験にも成功したそうだ▼やはり資源が減ったクロマグロは、日本で完全養殖の技術が生まれ出荷もされている。ウナギでは商業化のコストがまだ高いというが、資源枯渇もウナギ好きの舌も救う妙策。実現が待ち遠しい。(2018.2.7)