窓から差し込む夕日の温かさを、訪れた人の心にそのまま届けたい。仙台市泉区寺岡の住宅街にある「陽季亭」は、そんな願いを持つ店だ。昼はカフェ。夜の居酒屋を切り盛りするのが、経営者の八田美夕さん(22)。宮城大の3年生である▼北海道旭川市出身。宮城との接点はボランティアが始まり。旭川商高2年の2013年、東日本大震災で被災した仙台市の七郷地区で、農家の復興を後押しした。その後、進学先を探すうち、たまたま宮城大が目に留まった▼興味のあったまちづくりやデザイン、経営の勉強ができる。「高校まで震災に目を向けてこなかった自分に罪悪感はあったが、宮城との縁を大事にしたい」とやって来た▼「卒業してからでは遠回りになる」と起業を決意。両親がイタリア料理店を営んでいたこともあり飲食業を選んだ。アルバイトのほかクラウドファンディングで資金を集め16年11月に開店。その行動力に驚く▼地場食材を使い、昼は地元店のパンを並べ、酒も地元から仕入れる。「店を成長させて地域にお金が回るようにできたら」。近所の店であっても、外食は特別なひととき。「家族やグループが、普段と違う空間で季節の思い出を作れるような店にしたい」。被災地支援も続ける22歳の挑戦を、温かく見守りたい。(2018.3.20)