1970年の日本万国博覧会(大阪万博)をテレビで見たのは中学生の時。東北の田舎と別世界の近未来風景に驚いた。何より強烈だったのがシンボルの「太陽の塔」。高さ70メートルの塔に描かれた憤怒の顔が心に焼き付いた▼作者は前衛芸術家岡本太郎。万博のテーマ「人類の進歩と調和」に反発し、科学技術信仰を疑い、「人類は進歩していない。縄文土器のすごさを見ろ。今の人間に作れるか」との情念を込めた。周囲の懸念に反して人気を博し、一個の芸術として永久保存された▼「生命の樹(き)」「地底の太陽」など独創的な展示作品も復元され、48年ぶりに内部が一般公開された。見学は大盛況で4カ月先まで予約満杯という。太陽の塔が今なお人を引きつけるのはなぜか▼70年当時には安保闘争や全国的な公害といった現実があった。それを忘れさせる豊かな成長の夢を万博は見せた。翌年に稼働した福島第1原発も「未来のエネルギー」の象徴だった。が、夢に踊る時代はとうに終わった▼岡本は60余年前に縄文土器と出合い、その美を初めて世に知らしめた人だ。血の中に力が噴き起こるのを覚えたといい、「人間性への根源的な感動」を自らも作品で表現した。はかなく過ぎ去る時代の夢を超えていく生命力。太陽の塔が発し続けるものではないか。(2018.3.21)