気仙沼市の住宅地にたたずむ「気仙沼みちびき地蔵堂」。東日本大震災で亡くなった人たちを追悼し俳優滝田栄さんが彫り上げた地蔵菩薩(ぼさつ)像を祭り、「堂守」の会社経営熊谷光良さん(70)方敷地内に2013年開堂した▼お地蔵さまの後ろのびょうぶは、京都市の画家富永成風さん(75)の寄贈。富永さんは「市民とふれ合いながら真心の支援をしたい」と3~4カ月に1度、気仙沼を訪れては写仏教室を開き、絵を通して安らぎを求める人たちに指導を続けている▼教室の日は、朝6時半からお堂で座禅会がある。生徒の多くも参加し、心を落ち着けた後、熊谷さん宅に会場を移し9時半から絵筆を執る。生徒は40~70代、職業はさまざまだ。中には津波で家族を亡くしたり、家を失ったりした人もいる▼初めて開催したのは震災から2年後の13年初秋だった。熊谷さんは当時の様子を「涙ぐんで描いている人が多かった」と振り返る。みんな「自分の心の中と対話しながら描きなさい」との富永さんの助言に力づけられた▼絵と向き合ううちに、本当の自分の姿が見えてくるという。宮城県内から訪れた留学生は、信仰を超えて、日本人の優しい心に触れた思いがしたとか。静けさに満ちた教室だが、張り詰めた空気はない。次回の開催は4月1日だ。(2018.3.26)