中学時代、男子に派閥があった。好きな漫画週刊誌が『サンデー』か『マガジン』か。後者の連載では汗と涙の『巨人の星』か、男っぽい『あしたのジョー』か。少年の心を燃やした両作品の作者が、別の名なのに同一人物と誰も知らなかった▼あしたのジョーは故高森朝雄(梶原一騎)原作、ちばてつやさん作画のボクシング劇画。1968年1月1日号の登場から50年を数え、来月都内で記念展が開かれる。「立つんだ、ジョー」の名せりふは今も会話に生きている▼主人公の矢吹丈は天涯孤独からはい上がり、強敵と闘って倒れては、不敵な笑みでまた挑む。その反骨に学生運動の時代の若者も共感した。ライバル力石徹が宿命の試合で逝くと、大勢のファンが葬式を催した。現在では想像できぬ人気の熱さだった▼ちばさんは5年半近く執筆で家にこもり、主人公の浮き沈みに心身を同調させながら「命懸け」で連載と格闘したという。最後に行き着いたのが「真っ白に燃え尽きる」との思いだった、と本紙記事で語った▼不朽のラストと評される。世界戦で敗れ深く傷つきながら、満足げに目を閉じた姿が白い画面に描かれた。時代は変わろうが、年を重ねようが、読み手も「燃え尽きるような生き方、しているか?」とジョーから問われ続けている。(2018.3.29)