「上野公園で花見をし、週末の仙台でまた桜を楽しめた」。東京に単身赴任をする知人が得をしたように語った。桜の開花が仙台で観測史上2番目という早い春本番とともに4月。新年度スタートの2日、企業などの入社式が行われたが、春を喜べない人々もいる▼市内の私立大の仕事が5年になるのを前に、契約を切られた女性の話を身近で聞いた。一人で子どもを育てるが、まだ次の働き口が見つからない。「無期転換ルール」の適用前の雇い止めだったらしい▼有期契約で5年以上同じ職場に働く人が申し出れば、期限のない雇用へ転換できるルール。国の法改正で今月から運用された。不安定で弱い立場の働き手のための制度だが、それに先立つ雇い止めが各地で報じられた▼「企業、大学、公益法人…。派遣社員らの相談が元で団体交渉が生まれた職場もいくつかある」と、昨年から相談電話を設けた労働組合。願い通りの雇用を勝ち取る人がいる一方、「やむなく諦めた人が多いのではないか」とみる▼世は人手不足という。求人倍率は東北でも高水準が続く。だが、企業は人件費抑制、大学は財政難を理由に、無期転換の受け入れにいまだ消極的なムードだ。「人財」を大切にしない社会を待つのは春でなく、希望のない冬の時代なのでは。(2018.4.3)