帰宅して上着を脱ぐと、肩に薄ピンクの花びらが載っていた。夜桜の下を通った時、ひらり、はらりと舞い落ちていた。今年の桜は足が速い。今月末には開花前線が札幌辺りに到達しそうだという▼黄金週間に桜をめでようと思い立ったら、標高の高い所を目指そう。山桜が凜(りん)としたたたずまいで迎えてくれる。宮城県七ケ宿町には「大峰桜」がある。1965年に新潟県新発田市の大峰山で発見された珍種だ▼東北地方で大峰桜を間近に見られるのは七ケ宿町だけ。山形県境に近い国道113号沿いに自生地がある。95年ごろ、仙台市野草園の園長だった上野雄規さん(70)=白石市=らが確認した。「一目見て、何としてでも保存しなければと思いました」と振り返る▼代表的な山桜の「大山桜」と「奥丁字(ちょうじ)桜」の交雑種で、樹高は2メートルほど。普通の桜は1本の幹から枝分かれしているが、大峰桜は株立ち。一つの根から十数本の幹が生えている。卵形の葉は先端部で急にすぼまる。花はソメイヨシノに比べてやや小ぶりだ▼上野さんらが見つけた株は、湿地に生えているせいか樹勢の衰えが目立つ。でも、柴田農林高でバイオ栽培された後継樹が傍らで元気に育っている。例年だと5月の初めごろ満開となるが、今年は急いだ方がいいかもしれない。(2018.4.8)