方言「べー」の語源は古典の「べし」。東北大方言研究センターの小林隆教授が東日本大震災から2カ月後、本紙のコラムに書いた。「べし」は滅びたが、東北では「ガンバルべー」「がんばっぺ」などの言い方になって再び生きている。べーは復興の象徴という▼震災後、方言は文芸作品やコミュニケーション手段として注目されてきた。方言を駆使した小説で芥川賞を受賞した若竹千佐子さん(遠野市出身)は「方言は自分にとって一番正直な言葉。そこに生きてきた人たちの生活のにおいがする」と語る▼熊本県に「肥後狂句」という文芸がある。熊本弁を入れた五七五で喜怒哀楽を詠む。くまもと文学・歴史館(熊本市)が熊本地震の記憶を伝えようと公募した作品を集めた『震災万葉集』(花書院)には肥後狂句700点が載っている▼<たまがった(驚いた)あの宮城からボランティア 広田みどり>。市民が当時、何を思ったのか。ストレートな感情を言葉に乗せる。<のさん(嫌だ)元彼がいる避難先 西郷スイム>。厳しい環境にいても、ユーモア感覚は忘れない▼熊本地震から14日で2年。熊本も復興は途上だ。熊本城の復旧完了には20年かかる。<負けんばいガンバッペにも応えなん 民子>。励まし合って復興の道を進みたい。(2018.4.13)