教室で女の子が雑誌を読みふけっている。周りは弁当を食べるクラスメート。笑い声がしても雑誌に視線を向けたままだ。彼女たちは家庭が貧しく、昼食の弁当を持ってくることができなかった▼リアリズム写真の巨匠、土門拳の代表作で炭鉱地帯の失業者と子どもたちの姿を撮った写真集『筑豊のこどもたち』(1960年)の1枚だ。写真集発表から約60年。さすがにこんな光景は見られないが、子どもを取り巻く環境は今も厳しい▼貧困や孤立などの事情を抱える子どもに食事や居場所を提供する「子ども食堂」が急増している。先日、支援団体「こども食堂安心・安全向上委員会」が全国で2千カ所を超えたと発表した。子ども食堂ができたのは約6年前。東北6県にも、県が子ども食堂開設を支援する宮城の44カ所をはじめ計101カ所ができた▼貧困家庭の子どもだけでなく、一般の子も集まるなど地域住民の交流の場になった施設が増えている。一方で資金繰りが苦しく、けがや食中毒に備える保険に加入していない食堂が多いなどの課題がある▼子ども食堂に通うことなく、ゲームに向き合ったままの子どももいることだろう。時代は変わっても、孤立する子の心の寂しさは変わらない。社会全体で子どもの支援の輪を広げたい。(2018.4.16)