道をふさぐ多数のヘビ、木から落ちてくるヤマビル。高野山の僧が人助けのため危険な山に入った。たどり着いた一軒家には美女。僧は美女に引かれるが、夜中に猿の声や鳥の羽音など魑魅魍魎(ちみもうりょう)の音を聞く。泉鏡花の小説『高野聖(こうやひじり)』だ▼猿や鳥は実は美女のとりこになり、その神通力で獣にされた旅の男たちだった。僧は強固な意志で難を逃れる。この僧のようになりなさい-とは言わないけれど、ちょっとは見習ったら良かったのではないか▼財務省の福田淳一事務次官だ。週刊新潮でびっくりするようなスキャンダルが報じられた。報道が事実だとすればという前提付きだが、女性記者を夜の飲食店に呼び出して、まじめな取材の質問に「胸、触っていい?」などと言い放った▼超が付くエリート官僚の面目も丸つぶれではないか。赤っ恥と言ってもいい。財務省の対応も疑問符だらけだ。報道各社に対し、女性記者の被害の有無を報告してほしいと文書で呼び掛けた。セクハラ問題は被害者が声を上げにくいということも、この官庁は全くご存じないらしい▼しかもセクハラの調査を委託したのは財務省の顧問弁護士の事務所。とんでもないセクハラ被害に遭った女性記者が名乗り出なければ、この問題、全然なかったことにしたいのが見え見えだ。(2018.4.18)