刺し身やそばなど和食に欠かせないワサビは日本原産の植物。海外でも「Wasabi」で通る。栽培は江戸時代、駿河国(現在の静岡県)で始まった。根っこを大きくするためワサビ田で育てられる水ワサビと、林の中で育てる畑ワサビがある▼畑ワサビは、花や葉がおひたしや漬物用として出荷される。しゃきっとした歯ごたえと、鼻を抜けるさわやかな辛み。福島県内では伊達市の月舘町や霊山町で盛んに作られていた。約300人の生産者がいたが、東京電力福島第1原発事故の影響で出荷できなくなった▼特産品の復活を目指し、地元のふくしま未来農協は2014年に試験栽培を開始。東京農大などの協力を得て、林の表土を剥ぎ取ったりして育てたものの、放射性物質の濃度は思うように下がらない▼そこで、平地にある畑やハウスに圃場を変更。日光を遮るシートを掛けるなどして栽培方法を模索した。放射性物質が検出されなくなり、今年3月に出荷制限がやっと解除された▼先日あった7年ぶりの出荷を祝う式典で、農家の代表は「一歩を踏み出せた」としみじみ語った。ただ、生産量は事故前と比べればごくわずか。東京市場向けの出荷が大半で、地元ではなかなか手に入らないのがさみしい。本格的な生産再開が待ち遠しい。(2018.4.23)