「震災について語るのは難しい。僕に何ができたのか考えてしまう」。フィギュアスケートの羽生結弦選手(23)=仙台市出身=が2014年、ソチ五輪で金メダルを取った時の言葉だ。日本男子初の偉業なのに笑顔がないと記者会見で問われて▼東北の多くの人が東日本大震災で運命、境遇を変えられた。羽生選手も市内のスケートリンクで練習中、大地震に遭った。自宅は壊れ、家族と避難所で過ごした。リンクも一時期閉鎖され、練習場所を転々とする試練を味わった▼だが、金メダル獲得の翌日の本紙には「わが事」のように被災地の喜びの声があふれた。それから4年。平昌五輪での連覇を祝うパレードが仙台で催された22日、10万8千人の声援が沿道に満ちた。「地元だからこその光景だった」と温かさを羽生選手は記者会見でかみしめた▼「世界中の方々に、復興の手助けのきっかけとなるような行動をしていけたら」。スケートを続けていいのか-と悩んだという日々の後、被災地の思いと一つになった生き方がにじみ出た▼「無限への軌跡」。国内のフィギュアスケート発祥地とされる市内の五色沼に立つ記念像だ。同じく仙台育ちの荒川静香さん、そして羽生選手に続く金メダリストが、パレードに触れた子どもたちから育つといい。(2018.4.24)