「東北人口900万人割れ 減少率3.8%過去最大」。1月13日の朝刊1面に載った、危機感あらわな見出しが目を引いた。記事は、2015年国勢調査によると東北の総人口は898万2080人で、東日本大震災の前年の10年に行われた前回に比べ35万3556人(3.8%)も減少したと伝えている。
 2月26日夕刊1面では、都道府県別の人口増減状況も紹介された。東北だけでなく日本の総人口も、前回調査から94万7305人(0.7%)減り、1920年の調査開始以来、初めてマイナスに転じたという。人口減少はいよいよ全国規模に広がっていることが明確になった。

 1月13日朝刊1面の解説は「東日本大震災前から進行していた東北の人口減少に被災が拍車を掛け、もはや歯止めを期待できる局面ではない」と指摘。「抜本的な発想の転換が急務だ」と訴えている。少子高齢化と人口減少問題は、本紙を含むマスコミで、これまで何度も取り上げられている。だが、ここまで強い言葉を使うのは本紙では珍しく、この問題に対する危機意識の強さが感じられる。
 だが、メディアが使うこうした強い言葉に対し、一般読者はどれほど実感を持っているだろう。誰も経験したことのない世界だけに、あまり想像できないのが現実ではないだろうか。
 以前、国土交通省が行った国民意識調査で、「どんな時に人口減少を感じるか」との問いに対して、最も多い答えは「シャッター街が増えた時」だった。しかし、こうした現象が表面化した時には既に地域の人口減少は深刻化していることが多い。
 本紙には、段階的な未来の姿も射程に入れて、ぜひ詳しく取材をしていただきたい。
 国交省は本格的な人口減少社会の到来に対する危機意識を共有するため、2050年を見据え「国土のグランドデザイン50」を公表。地域の都市機能を維持するための人口規模の目安、税収減による行政サービスの低下などを例示している。こうしたデータと自分たちが住む地域の人口減少率を照らし合わせることで、漠然と危機意識を持つのではなく、身近な問題として取り組んでいくことができるのではないだろうか。

 地域の未来は、次世代を思いながらそこに暮らし、考える人たちの努力に懸かっている。人口減少社会において、情報発信や地域外との交流、移住定住も重要だ。
 これからの地域づくりで重要となるキーワードは「多様性」と「連携」である。多様性によって交流が活発化し、交流によって連携が生まれ、連携によって生まれたコミュニティー・地域に人は愛着を持ち、そこがふるさとになる。
 本紙の第39回「読者と考える紙面委員会」でも、人口減少と新聞報道の在り方が議論されたようだ(3月23日朝刊に詳報掲載)。本紙には、人口が減り続ける中、より良い生き方を模索する地域にあって、未来への道しるべを示す役割を期待したい。