新年度が始まり、初々しい新入社員に関する記事が見られる季節になった。2日朝刊1面の美しい桜の写真に、希望に満ちた春の訪れを感じた。
 一方、同じ1面に「東北景況感 4期ぶり悪化」「大企業・製造 大幅悪化 全国」の見出しで、3月の日銀短観の記事が大きく掲載された。東北に関しては「業況判断指数(DI)は前回調査から悪化…3カ月後の先行きDIはさらに悪化し…東日本大震災の復興需要に支えられてきた東北経済に変調の兆しが現れ始めた」とある。
 現場では昨年から景気の減速を肌で感じており、今回の発表は「やっと出た」という感がある。
 3面の関連記事の見出しは「中小も苦境 埋まらぬ格差」である。大企業に加え、地域経済を支える中小企業の景況感悪化も鮮明になったとして、複数の企業の現状を取材している。大企業と中小企業の景況感の格差は一向に埋まらない。記事は安倍晋三首相の「全国津々浦々の中小企業が景気回復の実感を持ってもらえるように全力を尽くしたい」という言葉を紹介しつつ、「人材確保策や取引価格の適正化支援といった中小企業対策は進んでいない」と指摘する。現場の感覚からすると、うなずける内容だった。

 同じ2日の社説「アベノミクスに見直し迫る」は、より突っ込んで書いている。「短観の結果が何を物語っているのか…それを踏まえずして対策はあり得ない」「日銀が大規模金融緩和で円安をもたらし、株高を演出することで支えられてきた」「外的ショックに弱いアベノミクスの『もろさ』があらわになった」。厳しい論調で今までの政策が功を奏していない点を指摘し、今後は「金融緩和、円安に頼らず、格差是正策によって内需拡大を図る方向へ明確に路線転換をすべきだ」「国民が将来へ不安を抱かないために社会保障制度の改革が必要」と主張する。
 三つの記事から、本紙が地域経済の現状に強い危機感を抱いていることが分かる。アベノミクスを地方の状況から評価するのは、地方紙ならではの役割である。今後もさまざまな視点から正確に分析して、記事にしてもらいたい。
 3月20~25日の朝刊に6回連載された「みやぎ『富県』10年 製造業の現場から」は、地元紙ならではの気合が入った記事だった。そこで報告された「仕事はあるが、もうけは少ない」「われわれ中小は今後どう対応すればよいのか」という声は、多くの県内中小企業の厳しい現状を代弁している。
 本紙には地域密着の新聞として、より多くの現場の声を拾い上げ、中央の政策に対してさらに深く問題提起していただきたい。また、地方企業の活性化のために何が必要か、少しでもヒントとなるような方策、海外を含めた成功事例などの記事も期待したい。

<やまだ・りえ氏>1962年、仙台市生まれ。東北大農学部卒。科学技術振興機構研究員などを経て、91年東北電子産業入社。2008年に創業者である父から社長を引き継ぐ。みやぎ工業会の女性経営者による部会「いろはの会」の代表も務める。農学博士。