本欄執筆も4回目となった。「紙面批評」は難しい。今までにないほど真剣に新聞に目を通すようになった。その結果、多方面にわたる数多くの情報と、思いのほか切り込んだ論調の記事があると感じている。
 最近、マスメディアが事実をどれだけ正確に報道しているのか疑問を感じることが多い。新聞を含む各メディアは表面的な情報を伝達するだけで、厳しい追及や評価が少なくなってはいないか。

 本紙は今回の参院選に関して、公示直後から連日多くの紙面を割いていた。激戦区の戦いぶりだけでなく、各分野から見えてくる現在の問題点、選挙の争点についての特集も多く組まれていた。
 5日朝刊3面では介護の問題について「介護サービス縮小に公約では触れず、争点隠しではないか」と、現場の不安が示された。同じく5日の朝刊宮城版には、安倍政権の環太平洋連携協定(TPP)や農協改革は強引だという声が根強くあるという記事があった。社説は「TPPと農業」について「議論が尽くされたとは言い難い」「いずれ全農産物の関税は撤廃されるのではないかとの疑念が消えない」と厳しく論じていた。
 また9日朝刊3面では「重要課題 置き去り」という見出しで、各党の議論が不十分な課題として「社会保障」「政治とカネ」「対中外交」を挙げ、「各党首が自身に都合が良い訴えに終始し、有権者の関心との隔たりも目立つ」と断じていた。直接の争点だけでなく、忘れてはならない重要な課題を改めて示した点は評価できる。
 9日の経済面には「東北の街角景気 3カ月連続悪化」とあった。農業、製造業、水産業、小売業など各業種が抱える問題や政府への要望がある。地方の生の声を多く取り上げて各業種の状況を報告することも地方紙の役割だろう。
 今回の参院選から18、19歳も選挙権を得た。多くの特集記事が組まれ、10代有権者へのアピールになっていた。9日朝刊5面のデスク日誌には「1票が国の未来を決める。迷っている方はどうぞ新聞を開いて」とあり、新聞製作側の熱意と自信が感じられた。紙面の片隅に掲載されたこの文章を、若者が読んでいたことを願う。

 7日朝刊には、英国の欧州連合(EU)離脱問題の余震が止まらず円相場は1ドル=100円台に急伸、英ポンドは31年ぶりの安値、投資家は動揺し「安倍政権が掲げてきたデフレ脱却は一段と遠のいている」とあった(1面・経済面)。国内が参院選一色となっている一方で海外の情勢は刻々と変化しており、本来、各党首は応援に全国を回っている場合ではない。参院選情勢より、むしろこの記事が1面トップではないか。
 10日に投開票が行われ、参院選は終了した。宮城選挙区は民進党の現職桜井充氏が当選した。良識の府参議院の議員として、政党の立場にとらわれず、宮城の声を強く中央へ届けていただきたい。
 そして本紙には前述の課題の行方を取材し、厳しく、正しく評価する記事を載せてほしい。