22日、「ポケモンGO(ゴー)」の配信が日本でも始まった。23日朝刊1面は「仮想現実体験がファンの心をつかんだようだ」と報じている。「歩きスマホ」への注意喚起、社会的影響など、これからも関連ニュースには事欠かないだろう。
 一方、22日朝刊経済面に「青森・六魂祭 経済効果29億円」という記事がある。「29億円」はシンクタンクが算出した数値である。この手のニュースは、統計手法も含めて、どのメディアもほとんど検証を行わない。正月の財界人による株価予想もしかり。これらが独り歩きしないか時々心配になる。

 だが、トップニュースになることはめったにないが、東北や宮城にとって教育と福祉に関わる貧困問題はそうはいかない。
 23日朝刊5面の「座標」で「子どもの貧困」が取り上げられている。朝食を食べない子の背景に家庭の貧困問題が存在し、皮肉なことにそれを学校の方針「早寝早起き朝ごはん」があぶりだしていく。子どもはつらかっただろう。
 16日朝刊宮城版によると、県内自治体の半数が子ども医療費助成を「中学卒業」まで広げてほしいと希望している。それを受けたかのように24日朝刊宮城版では「県補助拡大へ」との記事が出た。それでも「全国最低レベル」から「全国中位」(県子育て支援課)に改善されるにすぎない。これは給付型奨学金問題にもつながる。18日朝刊社会面「仙台でも返済猶予申請増」と23日朝刊くらし面「貧困家庭の子にも夢を」で、返済不要な奨学金を求める声が広がっていることを紹介している。
 公立小中学校の給食費滞納率調査(文部科学省)に関して、都道府県ランキングが最後に公表された2005年データによると、宮城県はワースト3位だった。さまざまな要因が考えられるが、根底に貧困問題が深く横たわっていることは想像に難くない。
 貧困家庭の子どもたちを社会的にはい上がれないままにしておけば、その中の有為な人材による活躍の道をも閉ざすことになる。いわば刻苦勉励の話が成り立たない世の中だ。それは地域や国家の未来に対する損失を意味する。本紙には、貧困問題について引き続き粘り強く報道し続けてほしい。
 朝刊3面の連載「道しるべ探して とうほく共創」で、魚の船上処理に懸ける若者が紹介されていた(18日)。「この作業をして熟成すると、うま味が増す」のだそうだ。20日は、林業に従事する女子の話。「ストイックで格好いい」という。いずれも若者の新鮮な価値観と意気が伝わってくる。この情熱や決断が諸先輩の知恵や経験と結合した時、仕事も地域も変わるのかもしれない。

 黙っていても次々湧いてくるようなニュース。あまり検証がなされないニュース。一つ一つの報道からは全体像がよく見えないニュース等々。ニュースにはさまざまな性格と役割がある。本紙には東北や宮城の未来にとって「かけがえのないニュース」とは何かを常に考え、紙面構成を続けてほしい。