24日朝刊1面に「東北観光 台湾でPR」という記事が掲載された。初めて「オール東北」で観光PRを行ったとある。遅きに失した感も否めないが、この活動が実りあるものに育っていくのかどうか、取材を続けてほしい。
 実はこの記事が出る前に注目していた記事があった。ニッカ仙台工場が来春ビジターセンター新設(15日夕刊)、「絹の道と東北経済」(下)観光振興 官民一体魅力発信を(16日朝刊3面)、おかみの育成塾を開講(18日夕刊)、訪日客 土産の酒税免除も(21日朝刊3面)、コボスタ進化中(21日朝刊宮城版)である。別々の記事に見えるが、東北の観光振興の視点から見れば関連する記事である。

 ニッカやコボスタの記事は民間ベースなので主役が見える。6県の知事・副知事の海外合同PRや、酒税の免除は支援策といえる。だが、主役と支援策が相乗効果を上げていくためには、さらに必要なことがあるのではないだろうか。私はおもてなしを実現する人材育成だと思っている。その視点で見ると「おかみ育成塾」に類する記事は、今の東北観光の振興に最も求められている記事に見えた。
 イタリアのレストランでは、観光客の要望を聞いて提案を行い、その満足度を上げながら売り上げアップを図る、そんなウエーターの役割が重要といわれている(金丸弘美『里山産業論』角川新書)。食材をいくら自慢しても、いくら支援策やイベントをやっても、おもてなしの心を添えて満足度を上げていかなければ、やがて東北や宮城から観光客は離れていくだろう。ここにニュースの鉱脈が眠っていると考えた。
 仙台市地下鉄東西線の需要予測に関する仙台市民オンブズマンの公開質問書に対する仙台市の回答が17日朝刊宮城版に載った。23日宮城版では、オンブズマンがその回答に不服であることを伝えている。やりとりはしばらく続くかもしれないが、それ以外にも取り上げてほしいことがある。例えば、東西線ができて道路の渋滞は緩和されつつあるのか。二酸化炭素の削減は進みつつあるのか。台風や大雪の時の代替輸送効果は本当にあるのか。高齢者や障がい者にとって乗り継ぎやバリアフリーに問題はないのか。観光客が利用する時の課題は何か。沿線開発がやがて地下鉄利用につながるのか。南北線との連携効果などである。
 また、新たな切り口から東西線の価値を考えてほしい。例えば、ドイツのカールスルーエではLRT(次世代型路面電車)事業がもうからなくても、地域が活性化して地域全体のもうけがプラスになるなら、良しとしている(谷口守筑波大教授)。東西線の場合はどうなのか。

 新聞は、時に多様かつ多面的に話題を提供しながらポイントを整理し、時に新たな知見を加えて、読者に別角度からも考えてもらえる工夫を行っている。地域の身近な関心事では、これをより意識してもいいのではないかと思う。いずれにしても、「気付き」を与えてくれる新聞は面白い。