「新聞が面白い」と思ったきっかけは小学生の頃、偶然に見た本紙朝刊の「外電小劇場」である。今思うと、世界に向けて小さな窓が開いた瞬間だった。14日の外電小劇場「コピー&ペースト」は、ヨガのポーズを取る多くの人の写真が印象的だった。いつも通り1枚の写真と簡単なコメント。今も楽しみにしている。
 16日朝刊国際面に「日本語第1外国語に」という記事が載った。ベトナムの一部の小学校で日本語を第1外国語として教える授業がスタートしたという。ベトナムの子どもたちに、日本への興味の窓が開くことを期待する。やがて東北への親子留学など「リアル」な学習との組み合わせもできるようになるかもしれないし、大人になった時、訪れてくれるかもしれない。
 夕刊連載「伝える訴える」、17日の「ラジオがあれば」は、ブータン人の日常の振る舞いや幸福感が垣間見える記事だった。多くの人が知らない世界を言葉と写真で伝えてくれるのはありがたい。東北もこのような心温まる記事を世界に数多く発信できればと思う。

 「東北とは何か」を考えさせられる記事が幾つかあった。
 25日朝刊には「111回歓喜紡ぐ」の見出しで、連載「とうほく一番物語」総集編が掲載された。これまで、東北の知らないことや、知っていても「そうなのか」と思わずうなる記事がたくさんあった。24日朝刊からは連載「道しるべ探して」の第4部「ものづくり」が掲載されている。ものづくりの現場を取材したものだが、東北人の心意気が伝わってくるようだ。17日朝刊経済面「主婦の発想 美顔器に」では、主婦が6年間の試行錯誤を経て美顔器を開発した話を紹介している。「努力し続ける人」を扱う記事をもっと読みたい。
 16日朝刊宮城版の「助け合い欧州が注目」は、アウシュビッツ博物館公認ガイドの日本人が、東日本大震災の時、いさかいなく助け合った被災地の人々を、欧州の人々は「自分たちにはできなかったこと」と称賛したことを伝える。
 これらは東北人の気質が垣間見える話ではある。しかし、視点を変えれば日本中で似たような話を見つけることも可能かもしれない。地方紙の使命と役割はここにあると私は考えている。ある時は歴史や民俗、道具や技術、そして人や心情に現れる地域の個性に寄り添い、ある時は他地域との比較で自らの地域を際立たせ、あるいは海外との比較で自らを輝かせる。

 20日朝刊の特集「三拍子 今に応える」で、10月から紙面が刷新されることを伝えている。キーワードは「見応え」「手応え」「読み応え」。ぜひ「東北とは何か」を読者に伝え続けてほしい。
 やがて海外から大勢の人々が東北を訪れることになるだろう。その時東北は時に尊敬され、時に誤解を含んだ試練を受けるかもしれない。しかし、それが東北であることが、あらゆる場面で強く認識されていくだろう。「東北とは何か」、ここに本紙の未来がある。